こんにちは。赤坂ビューティークリニックの青山です。
最近、「イニボ」という新しいボツリヌストキシン製剤について聞かれることが増えてきました。「今までのボトックスと何が違うの?」という質問が多いので、この記事では医師である私が、成分や特徴を直接解説していきます。
この記事でお話しするのは、次の3つです
- イニボとは何か
- ボトックスとイニボの違い
- 成分の比較
順番に見ていきましょう。
イニボとは何か
イニボは、いわゆる「ボツリヌストキシン製剤」のひとつです。
ボツリヌストキシンというのは、シワを目立たなくしたり、エラを細くしたり、あるいは脇の汗を止めたりするのに使われる注射のお薬です。今までは「ボトックス」という名前が広く知られてきましたが、イニボはそれと似た仲間のお薬だと思っていただくとイメージしやすいと思います。
ここで知っておいていただきたいのが、「ボトックス」という言葉そのものについてです。
実はボトックスは、アメリカのアラガン社(現アッヴィ)の登録商標なんですね。つまり商品名です。だから本来「ボトックス」というと、アラガン社の製品のことを指します。
韓国製やドイツ製など、アラガン社以外の製剤は、厳密にいうと「ボトックス」とは呼ばず、「ボツリヌストキシン注射」や「ボツリヌス製剤」と呼ぶのが正しい言い方です。ただ、ボトックスという名前があまりにも有名になってしまったので、世間ではアラガン社以外の製剤もひっくるめて「ボトックス」と呼ばれているのが現状です。
その「アラガン社以外のボツリヌス製剤」のなかで、新しく登場したもののひとつがイニボというわけです。
ボトックスとイニボの違い
ボツリヌス製剤は世界に何十種類もあります。では、そのなかでイニボは何が違うのか。
イニボの特徴としてメーカーが挙げているのが、高い純度と、薬剤が広がりにくい(非拡散)という性質です。
純度が低い製剤には、アルブミンなどの不純タンパク質が含まれていることがあります。この不純タンパク質があると、薬がそれに引っ張られるような形で、注射した場所以外にも広がってしまうことがあるといわれています。
薬が広がってしまうと、何が困るのか。
ひとつは、本当に効かせたいところに薬がしっかり届きにくくなること。もうひとつは、たとえば額のシワを取りたくて額に注射したのに、薬が広がってしまって眉が下がる、表情が不自然になる、といったことが起こりうる点です。
注射というのは、効かせたいところにきちんと効いて、そこから薬が逃げないのが理想です。純度が高く広がりにくい製剤は、この点でメリットがあると考えられています。
韓国製の製剤は危ないの?
イニボは韓国で製造された製剤です。「韓国製」と聞くと、少し不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、イニボは韓国の規制当局(食品医薬品安全処/MFDS)の承認を取得している製剤です。この承認は決して甘いものではなく、審査はかなり厳しいといわれています。
もうひとつ知っておいていただきたいのが、歴史の話です。アラガン社のボトックスは30年以上の歴史があります。これは「データが豊富で安心」という大きな強みである一方、見方を変えれば「数十年前の技術で作られた製剤」ともいえます。
後から登場した韓国やドイツの製剤は、いわば先行する製品を研究し、改良を重ねて作られています。ですから「新しいから劣っている」というより、むしろ後発の製剤のほうが技術的に進化している面もある、というのが実際のところです。
つまり「韓国製だからよくない」と一括りにはできず、製剤ごとの中身で判断するのが大切だということですね。
自然な仕上がりを重視する方に
韓国製のボツリヌス製剤のなかにも、実は何十種類もあります。そのなかでイニボは、高い純度と広がりにくさを特徴としているため、自然な仕上がりを重視したい方に向いた選択肢のひとつといえます。
薬が余計なところに広がって、ほかの筋肉まで動きが抑えられてしまうと、表情が不自然になったり、目が重く感じられたり、笑顔が出にくくなったり、ということが起こりえます。広がりにくい製剤は、こうしたリスクを抑えやすいと考えられています。
イニボはまだあまり知られていない製剤ですが、これから注目されていく可能性のあるお薬だと感じています。
大切なのは「製剤」と「医師の技術」の両方
ここで強調しておきたいのが、どんなに良い製剤を使っても、注射する医師の技術が伴わなければ意味がないということです。
ボトックスもイニボも、基本は筋肉注射です。浅く注射すると筋肉まで届かず、効果が出にくくなります。逆に深く入れすぎると、針先が骨膜(骨を覆う膜)に当たってしまい、これが頭痛の原因になることがあります。
「ボトックスを打ったら1か月くらい頭痛がする」というケースには、主に2つの原因が考えられます。
- 注射の位置が下すぎて、眉を動かす筋肉が抑えられ、目が開けにくくなって頭痛につながる
- 注射が深すぎて骨膜に当たり、その痛みが頭痛として残る
いずれも時間とともに回復しますが、回復までに1か月ほどかかることもあります。1か月つらいのは大変ですよね。
だからこそ、ボトックスやイニボは「誰が打っても同じ」ではありません。注射の位置・深さ、そして医師の経験が、効果にも副作用にも関わってきます。
まとめ
イニボは、高い純度と広がりにくさを特徴とする、新しいタイプのボツリヌス製剤です。効かせたいところにしっかり効いて、余計なところには広がりにくい。これが、自然な仕上がりを目指すうえでのメリットといえます。
ただし、繰り返しになりますが、良い製剤を選ぶことと、それをきちんと理解して扱える経験豊富な医師に施術してもらうこと、この両方がそろって初めて満足のいく結果につながります。
ボトックス注射をご検討の方は、選択肢のひとつとしてイニボも知っておいていただけると参考になるかと思います。
この記事が皆さんのお役に立てば嬉しいです。











